![]() |
![]() |
|||||||||
![]() |
||||||||||
|
||||||||||
飯守泰次郎です。いよいよ6/14、関西フィルにとっても私にとっても積年の念願であった関西フィル専属の合唱団である「関西フィルハーモニー合唱団」が、発足記念公演を迎えます。 デビューとしては大曲ですが、ブラームスの「ドイツ・レクイエム」をともに演奏できることを、大変嬉しく思います。この合唱団は、私も何度もご一緒してきた素晴らしいテノール歌手である畑儀文さんの情熱的なご指導のもとで、練習を積み重ねてきました。 短いメッセージではありますが、演奏会のご案内に掲載した私の文章を、ホームページをご覧の皆様にもお読みいただければと思います。 *** 「ドイツ・レクイエム」は、これぞ人間ブラームスの姿だとお感じいただける作品だと思います。彼はこの曲を構想中に親友シューマンと最愛の母親を失います。やり切れない悲しみを込めて作曲することで、彼自身は救われました。この作品を聴けば、皆様もブラームスと同じように救われたと感じるかも知れません。ドイツ語であらゆる人に呼び掛ける形で書き上げられた、本当に稀な作品――まさに“人間のレクイエム”だと思います。この名曲を安井陽子さん、山下浩司さんという素晴らしいソリストのお二人、そして今回が発足記念となる関西フィル・コアと、定期演奏会という最高の舞台で共演できることを心から楽しみにしています。 |
||||||||||
飯守泰次郎 |
||||||||||
|
||||||||||
今年で創立33年目を迎える日本ワーグナー協会とのご縁は、1990年に遡ります。協会創立10周年記念公演『トリスタンとイゾルデ』(日生劇場)に際して、指揮の打診をいただいたのですが、ヨーロッパの仕事がどうしても調整がつかず、大変残念ながら音楽稽古だけをお引き受けしたのが始まりです。 9/16の生誕200年記念コンサートは、1990年以来の日本ワーグナー主催公演ということで、“『ニーベルングの指環』名場面集”と題し、前半に『神々の黄昏』から“ジークフリートの葬送”と“ブリュンヒルデの自己犠牲”、後半は『ワルキューレ』第1幕全曲を演奏会形式で上演いたします。 これはワーグナーに限ったことではありませんが、オペラにおいては、歌手との稽古の段階が非常に重要です。私が指揮をして、オーケストラの部分は練習ピアニストが伴奏し、1人ひとりの歌手と、歌詞と音楽の関係、発音、登場人物の心情などを掘り下げていきます。 ワーグナーの楽劇では、大編成のオーケストラが響く2000人の大ホールで、歌手が聴衆に歌詞を伝えなければなりません。そのためには、歌詞のドイツ語、特に子音の発音がきわめて明瞭であることが求められます。時にはTheater
Deutsch(劇場ドイツ語)とでもいうべき、特別な強調が必要なこともあります。 たとえば、『神々の黄昏』の“ブリュンヒルデの自己犠牲”は、この巨大な四部作の大詰めの場面です。ブリュンヒルデの語りの中に「Ruhe, ruhe,
du Gott!(憩え、神よ!)」という歌詞があります。ここは、ソプラノとしては音域も低めであるうえに、言葉自体も言いにくく書かれています。にもかかわらず、特にこの「Gott(神)」は、四部作を締めくくるブリュンヒルデのこの語りの中核となる、大変に重要な言葉なのです。 これはほんの一例にすぎません。登場人物の造形についてもそれぞれがさまざまなアイディアや疑問をもって準備に臨んでいますので、人物像についても話し合います。 そもそもワーグナー歌手は、歌い通すだけでも大変なことであるので、リハーサルの段階から大ホールの空間と距離感を考慮し、自分の声が広い空間に響くイメージをもって、声の使い方や配分を設計していけるようになることも非常に重要です。 今回の歌手陣はいずれも若手の実力者で、素晴らしい豊かな声の持ち主が揃っています。私は日本人歌手とのワーグナー上演の経験を長く積む中で、声とオーケストラの有機的なバランスを作ることで、聞き手に作品の本質を深く伝えることは十分に可能である、ということを確信しています。 このコンサートに向けたリハーサルの様子を、今後も折に触れてお伝えしていきたいと思います。皆様、ぜひ9/16の本番にご期待ください。 |
||||||||||
飯守泰次郎 |
||||||||||
|
||||||||||
4月から始まったばかりのこの新しいシリーズは、読売日本交響楽団の初のレクチャー・コンサート・シリーズだそうです。仕事が忙しくてなかなかコンサートに間に合わない方や、クラシック・コンサートを気軽に楽しみたい方を想定して、読響の特別客演指揮者である小林研一郎さんと音楽評論家の奥田佳道さんが監修されています。開演は20時、演奏は約1時間、という凝縮されたプログラムで、その前の30分間、奥田さんが解説をしてくださいます。今回は私も「聴きどころ」をお伝えするために、解説の後半に舞台に出て、奥田さんと一緒にお話をいたしました。 今年ともに生誕200年を迎えるヴェルディとワーグナーの序曲・前奏曲などを、それぞれ3曲ずつという、内容の濃いプログラムでした。この対照的な二人の作曲家を、このようなかたちで演奏できるのは、非常にやりがいのあることでした。 読響とは昨秋の二期会『パルジファル』のピットでずいぶん長いお付き合いをしたばかりですので、今回もお互いに気心がよくわかりました。しかも、昨秋に長く取り組んでよく理解しあえているワーグナーはもちろんのこと、ヴェルディではまたがらりと違うイタリア的な素晴らしい響きを出してくれて、大変嬉しく思いました。読響の表現力の豊かさに、改めて感服いたしました。 このように作曲家も作品の性格も異なる曲を数多く演奏することは、大曲を演奏するよりも難しい面もありますが、超満員のお客様が熱い拍手をしてくださって、短時間ながらもお楽しみいただけたことを感じました。客席の風景もいつもと少し違うような印象もあり、この日の新たな聴衆の皆様が、またコンサートにいらしてくださることを、私も心から願っております。 |
||||||||||
飯守泰次郎 |
||||||||||
|
||||||||||
10年ぶりにご一緒して、オーケストラの発展ぶり、そしてこのマーラーの難曲に取り組む姿勢が立派であることに、とても驚いています。 私も久留米市民オーケストラとお会いして初めて知ったことですが、久留米市はさまざまな名産品があり、ブリヂストンの創業者の石橋正二郎の出身地として、また全国の水天宮の総本宮があることでも有名です。さらに、ベートーヴェンの第九の演奏の古い歴史があります。徳島の板東俘虜収容所と同じ時期にやはりドイツ人捕虜の収容所があって、第九が演奏されています。街の規模としては大きくはありませんが、文化的都市としてとても活発な歴史を持っているのです。 久留米市民オーケストラと一緒に演奏していると、この街がそうした文化的エネルギーに満ち、町そのものに豊かな個性があることが感じられます。久留米の皆さんは大変オープンで、人生を非常に楽しんでいるということが伝わってくるのです。 このオーケストラの中には大変色々な個性の奏者がいるので、おそらくとても色彩豊かなマーラーの5番になることと思います。プログラムの前半には、マーラーの編曲によるバッハの管弦楽組曲を演奏します。この組み合わせも、とても面白いアイディアです。活気に溢れているオーケストラなので、本番前のゲネプロで頑張りすぎさえしなければ、きっと素晴らしいコンサートになると思います。とても楽しみです。 |
||||||||||
飯守泰次郎 |
||||||||||
|
||||||||||
今回はオール・モーツァルトで、「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」、交響曲第40番ト短調、第41番「ジュピター」という大変素晴らしいプログラムです。 新日フィルとリハーサルをしながら感じたことは、スケジュールの厳しい多忙なオーケストラであるにもかかわらず、リハーサルの雰囲気がとても和やかで、楽員の皆さんが音楽する喜びに溢れている、ということです。リハーサル中、非常に肯定的で積極的な姿勢で音楽に向かう姿勢に、私は強く胸を打たれました。練習をしながら、すでに、音楽する喜びに私自身も浸ることができました。 考えてみれば、これほどの名曲を選び抜いたプログラムなので、オーケストラとしては暗譜しているくらい、すっかり体に音楽が入っている曲ばかりです。でも新日フィルは、私のパーソナルな音楽作りに非常に積極的に取り組んでくださって、本当に感謝しています。 新日フィルの本拠地である、すみだトリフォニーホールの素晴らしい音響で、これらの名曲を演奏できることが、楽しみでなりません。同じプログラムで同じ時間に、金曜日と土曜日の2回、コンサートをいたします。ぜひ皆さまのお越しをお待ちしております。 |
||||||||||
飯守泰次郎 |
||||||||||
|
||||||||||
関西フィルと私は、2005年以来、大澤壽人作品再演の取り組みを続けています。 2005年2月13日(日)いずみホール 2006年11月30日 (木) ザ・シンフォニーホール 2007年11月28日 (水) ザ・シンフォニーホール 2008年10月8日 (水) ザ・シンフォニーホール 2009年11月3日 (火・祝) いずみホール 6曲目となる今回は、大澤がボストン留学中に作曲し、まだ演奏された記録のない「ピアノ協奏曲第1番」を取り上げます。ソリストは、超難曲である第3番、そして第2番でも素晴らしい演奏をしてくださった、大澤のピアノ協奏曲の第一人者・迫昭嘉さんをお迎えします。
大澤壽人は、若くして欧米で華やかなデビューを飾りながら、第二次大戦に将来を阻まれて国内にとどまり、戦後は関西の音楽界の向上に力を尽くしました。激務がたたって46歳で急逝した後は、作品が顧みられることのない時期が長く続きました。2000年に大量の楽譜が発見されたきっかけとなったのは、神戸新聞の取材であり、それだけに今回の神戸新聞松方ホールでのコンサートにはいっそう深い意義があります。 関西フィルは、大澤作品の演奏をもう8年間にわたり積み重ねており、世界のどのオーケストラよりも深く彼を理解し、蘇演に情熱を持っているオーケストラです。 さて、後半のワーグナーについては、もうご説明の必要もないほどです。これまで関西フィルと『ワルキューレ』第1幕、『トリスタンとイゾルデ』第2幕、『ジークフリート』第1幕、そして昨年は『ワルキューレ』第3幕を演奏会形式で上演してきました。ともに培ってきたワーグナーの響きを、お楽しみいただけばと思います。 大澤壽人を生んだ神戸の地で、このような変化に富んだプログラムを演奏できることは、私にとっても望外の喜びです。 |
||||||||||
飯守泰次郎 |
||||||||||
|
||||||||||
新響は、しばしば大変意欲的なプログラムを組むオーケストラです。明日も、R.シュトラウスの交響詩「ドン・ファン」と「ばらの騎士」組曲、そして後半はベートーヴェンの「田園」という、ドイツ音楽の中心的なレパートリーに挑戦します。 |
||||||||||
飯守泰次郎 |
||||||||||
|
||||||||||
ブルックナーの第5番という特別な交響曲を、15年前から一緒にブルックナーの経験を積み重ねている東京シティ・フィルと演奏できることを、心から嬉しく思い、感謝しております。 コンサートのプログラムに寄せて以下の文章を執筆しましたので、ホームページをご覧くださる皆様にもぜひお読みいただければと思います。 *** 「ごあいさつ〜ブルックナー交響曲ツィクルス第2回に寄せて〜」 *** |
||||||||||
飯守泰次郎 |
||||||||||
|
||||||||||
東京シティ・フィルと私は長年一緒に仕事をしているので、ブルックナーを演奏することについてお互いに深い信頼関係ができていますが、この作品が持つ特別な宗教性を表現することは、ポピュラーな第4番や第7番などとは異なる難しさがあるのです。 |
||||||||||
飯守泰次郎 |
![]() |
|||
− 当サイト掲載情報の無断転載を禁じます
− (c) Taijiro Iimori All Rights Reserved. |
|||
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |